労務監査・労務診断業務
「労務監査・労務診断」はただ法令遵守状況を点検するに留まらず、結果を受けた整備や改善を通して、経営戦略が効果的に実践されるための人材マネジメントに資することを目的としています。
労務監査とは
労務監査は、労働社会保険諸法令のコンプライアンス状況、社内諸規程の整備・運用状況、IPO等目的に沿った人事労務管理状況を監査するものです。
(1) 労務コンプライアンス監査とは
労働社会保険諸法令に基づき労働基準監督署、労働局あるいは公共職業安定所、年金事務所などの行政機関等が法令に基づき実施する臨検調査に準じた監査を行ないます。また、経営管理体制の骨格となる組織、職務権限などを体系化する人事労務関係の規定・協定・法定帳簿などの整備状況も監査します。
■ 労務コンプライアンス監査の具体的な内容
1) 労働法令関係:労働法令(約18の法令)に基づく整備状況、運用状況に関する監査(労働基準監督署および労働局が行う臨検調査に準じた監査)
- 法令に基づく帳簿、協定書、書式などの整備状況の監査
- 法令に関する人事・労務制度の運用に関するヒアリング監査
2) 社会保険関係:公共職業安定所、年金事務所が行う臨検調査に準じた監査
- 労働保険事業所関係の成立状況・保険料申告状況の監査
- 雇用保険適用状況・手続状況の監査
- 社会保険適用状況・手続状況の監査
(2)労務診断とは
人事労務分野における規程の整備・運用に焦点を当て、その適法性、適正性、適切性を診断するものです。バランスシートや損益計算書等に現れない簿外債務ともなる人事労務に関するリスクを社内規程類の精査を基本として洗い出すことにより、突発的な人件費負担を回避することも可能となります。
■ 労務診断の具体的な内容
1) 組織内の規則、規程類の監査
- 人事・労務関係規程の整備状況の監査
- 人事・労務関係書類(人事労務書式)の整備状況の監査
- 人事・労務制度の運用状況を確認するための帳簿・書式サンプル監査
- 人事労務担当者への制度運用に関するヒアリング監査
(3)目的別の人事労務管理分野にかかる監査とは
労務監査は通常は、労働社会保険や人事労務にかかる法令や規定について全般を精査することが望ましいのですが、場合によっては目的に沿った分野に絞って実施することも可能です。目的に沿った分野とは、例えばIPO(株式公開)や企業の合併・買収に伴い簿外債務に繋がるリスクとして時間外労働の管理や保険の適用に絞って問題を洗い出すなどというケースです。他にも、時間やコストの観点から、まずは労務管理の基礎となる就業規則に絞って適法性、適正性、妥当性を監査したいなどというケースもあります。
■ 目的別の人事労務管理分野にかかる監査の具体的な例
1) IPO(株式公開)を踏まえた監査
<法令に定めのある事項>
- 規程類の整備・運用状況に関する監査
- 労働時間の適正な管理と賃金の適正な支払いに関する監査
- 安全衛生管理体制の整備・運用に関する監査
- 労働・社会保険への適正な加入に関する監査
<法令に定めのない事項>
- 人事政策に関する調査
- 従業員の異動状況に関する調査
- 出向者や派遣労働者など、特別な雇用形態の者の取扱いに関する調査
- 給与・賞与の支給水準、平均年齢・勤続年数の調査
- 人員計画に関する調査
- 過去の行政機関等からの是正・指導事項に関する調査
- 社員教育体制の調査
2) 就業規則その他社内規程に絞った監査
<書面による監査>
- 絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項の有無の確認
- 付随書式の整備状況の確認
- 法改正への対応状況(整備状況)の確認
- リスクの洗い出し
- 提出状況の確
<ヒアリングによる監査>
- 改定手続の妥当性に関する聞取り
- 周知方法の適法性に関する聞取り
- 付随書式の活用など運用実態の聞取り及び書面で定められ内容との乖離について確認